同性である女の子に、身体を求められたことが、ある。
高校時代。
強くて、弱い子だった。
同じ教室になることは無かったけれど、3年間を共に過ごして、徐々に仲良くなっていった。
賢くて正しく、優しく孤高で、美しい子だった。
すらりとした長い手足に、華奢な肩。白い肌にはストレートのロングヘアがよく似合っていた。
彼女にはひとつだけ、足りないものがあって。
深く尋ねることはしなかったけれど、その頃の彼女の心には、深い闇があった。
たかだか18歳の女の子が抱えるには、大きな闇があった。
彼女はいつの間にか、「守るべき存在」になっていて。
彼女もそれを望んでくれていた。
けど、私にはどうしても彼女の心の隙間は埋めてあげられなくて。
女である私には、男性からの愛情を求める彼女の要求には応えられなかった。
純粋な彼女を精神的にも身体的にも傷つけた、「異性」という存在は
彼女が強く拒絶し、そして求めたものだった。
窓から射す月明かりの下、一糸纏わぬ姿でその美しい身体を寄せてきた彼女が、泣きながら私を求めてくる。
けれど、
本当に彼女が必要としていたのは友情じゃなく。
彼女の総てを包み込む永遠の愛情だったから。
鎖骨の下に走る痛々しい傷跡を指で撫でて、
彼女の口づけを受けながら、ただ慰める外に無かった。
どんなことがあったって、彼女は彼女だ。
彼女を傷つけて良い理由を持った人間など、どこにも存在しないのに。
ただ、弱かった。
それだけで彼女は傷つけられて、彼女自身も自らを傷つけるに至った。
どうしてもっと、優しい世界に産まれてこれなかったのかな。
どうして、もっと優しい世界で在れないのかな。
私の今をつくってる、
むかしのはなし。
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